The Gibson

 

ギタリストという存在はやっかいな習性を抱えていまして、それはつまり

気に入ったギターを必ず持って帰りたくなるという習性です。

 

店頭でそのギターと目が合ったら、

もうその夜からはそのギターのことで頭がいっぱいになって、

預金残高がいくらであろうが、何本目のギターであろうが、

もうそのギターのことがどうやっても頭から離れないのであります。(人にも依ると思いますが…)

そして、散々楽器屋で試奏させてもらったあげく、

「やっぱいいですよねえ、木目が、ふむ、音もいい感じに馴染んでて、なるほど、ふむふむ。」

と、横にいる店員さんと話しているというより、むしろ自分自身を説得しているような感じで、

ギターを試奏し、数回のしかるべき値段交渉を経て、

「じゃ、これお願いしますぅ…!」となってしまうのであります。

 

このギターはそんな一本、東京に演奏しに行った帰りに、目が「バチコーン!」と合ってしまって、

我が家にお連れしてしまったのが昨年の話。

ほぼ90年前のギターです。

そんな前のギターでもしっかりと鳴ってくれて、僕が弾いているというより、このギターが元から持っている歌をこのギターが歌っているというような、歴史をたっぷり感じるギターです。

 

いやはや、自分の物欲(ギター欲)のえぐさに驚きながらも、

やはり手元に惚れたギターがあるという安堵感。

仏教国に生まれながらシッダールダさんがいたら「少しは煩悩をなくしなさい」と言われてしまいそう。

(『聖☆おにいさん』のシッダールダさんのイメージ…)


さてさて、

今月末の生音コンサートではこのThe Gibson L-3で、新しく作った曲を演奏しようと思っています。

 

イメージは「山のトロッコ」。

小さなトロッコが山を越えていく姿をスライドバーを使ったラグタイム調で仕上げました。

手拍子をして聴いて下さると嬉しいな。

 

ぜひお楽しみに!