ギタリストの爪事情

 

今週末から京都は本格的な寒波到来。テレビのニュースを見ていると早くも豪雪に見舞われている地域も。先の冬は山梨で記録的な豪雪があり一部地域が完全に孤立してしまうということもありましたね。

積雪地帯に住まわれている方々の除雪作業のご苦労は大変なものがあると思います。

どうか平穏な冬が訪れますように。

 

さて、冬場となり気をつけたいのが指先の保護、そして爪です。

水仕事が一層きつくなるこの季節、指先のケアはギタリストにとってとても大切です。

 

僕がアコースティックギターをフィンガーピッキングするときは、爪と指先(英語でフレッシュ"flesh"といいます)の間に弦を捉えるように各弦をストロークするのですが、これは爪の伸ばし方や整え方でかなり音が変わります。

 

爪が長すぎると弦をうまくミュートすることが出来ないし、短すぎると今度は音に艶が出ない。

それにギターの弦にあたる角度に爪をヤスリで磨かなければ時には思いもよらない変な音になるときもあります。

僕の場合はまずは金属製の爪ヤスリ(この爪やすりの目もいろいろあります)で爪の形を作ってから、次第に目の荒いヤスリから細かいヤスリで整えていって最終的にはプラモデル用の紙やすり(フィニッシングペーパー 2000番 タミヤ製)でさらに注意深く磨きます。

 

この削り方はクラシックギターの師、藤井眞吾先生から教わりました。

 

クラシックギターの弦は言うまでもなくナイロン弦です。

特に右手薬指("a")や中指("m")は1弦2弦においてメロディー部を担当することが多いので、キレイに爪を仕上げなければ美しい音がなりません。

それにクラシックギターの弦はアコースティックギターよりも幾分か太いので、爪が弦に触れる面積が大きいのです。だから余計に爪への配慮は欠かせません。

 

<クラシックギターの各指の名前>

親指     p     (プルガール plugar)

人差指  i     (インディセ indice)

中指    m      (メディオ medio)

薬指    a       (アヌラーヌ anular)           (スペイン語に由来)

 

クラシックギターの世界では爪の整え方が(流派により若干の違いはあれど)確立されていますが、アコースティックギターの場合はまだそこまで厳密な爪の形のスタンダードがあるようには思いません。

 

ピンポン球を使用したり、ネイルサロンで施術をしてもらったり、または爪を用いずに指先だけで弾いたりとギタリストによって様々です。

 

肝心なのは、爪をどのように用いるか、爪を用いるときにどのような音を出したいかということを自分でよく理解していることだと思います。

「どのような音を出したいか」を理解するによって当然ですが「実際に出てくる音」も決まります。

 

ちなみに僕はもう長い間右手の爪を、爪切りで切っていません。

ミリ以下単位で整えているので、「爪切りで切る」なんて聴くとなにか破壊兵器のような恐ろしさを感じます(笑)

「右手の爪を爪切りで切ってやるぞ〜」という言葉ほど指弾きのギター奏者にとって恐ろしいことはないような気もします。